もはや歯科医療の主役
従来の治療はとにかくいじくりました。
「修復型」などとも呼ばれていて、
虫歯があればとことん削り、
痛みがあればどんどん神経を取り、
そのうち予後不良になって抜歯
というのが既定路線かのように行われていました。
それでいて保険の入れ歯では歯科医院は赤字になってしまうので、
とにかく安い技工所、とにかく安い材料となり、
入れ歯もほとんどの人が「こんなものかな」という
状態で使っているのが現状です。
それら治療によって歯科治療が必要な方が減ったかと言えば、
それらのやり直しが加算され、
むしろ増えているという見方も出来るくらいです。
歯の検診や予防歯科といわれているものは、
それらの治療を見直し、
いかに「手をつけず」
いかに「残すか」
を目的とした治療になります。
この治療の主役は歯科衛生士さんになります。
けれども、
残念ながらそのほとんどの人の関心ごとは
「好条件な雇用」や「ライフスタイル」
のようで、
たまに勉強していても
「セミナーに出ているから私は勉強している」といった程度の方や、
「そんなのどこにあるの?」といった会の資格を取りまくっている方
が多いのが現状で、
予防歯科が末端から普及しない大きな原因となっているようです。
この予防歯科は、健康を維持することが目標になりますから、
成功のゴールがイメージしにくいのも、患者様のモチベーションの低さに
繋がっているのかと思います。
ただ、
論文レベルでは条件の違いはあるものの、
虫歯の箇所を10分の1に減らし、
歯周病の進行も10分の1にする
という研究結果がすでに出ています。
当院でも、初診時は虫歯が15個以上あった虫歯のハイリスクの方であっても、
検診に通ってくださっている方は、1、2年に一度、
経過観察中の虫歯に進行がみられたので、少しだけ治す
といった程度まで、成果を上げています。
私自身は結構無理をして歯を残そうとしますので、
初診時に「これは厳しいかもな」と思うような方でも
歯を残して衛生士さんに託します。
しばらくぶりに経過観察中の虫歯に進行がみられたと
いうことで治療になり、その患者様と再会することになるのですが、
「おっ、残ってるなぁ」「復活しましたね!」
などという会話をするくらいです。
他のページでもお話ししましたけれど、
初診時に「ダメだ」と判断して抜歯に至った歯以外は
ほとんど抜くことがありません。
1ヶ月に1本も抜かないことも少なくなく、
今年に入ってまだ10本は歯を抜いていないと思います。
また、
虫歯が進行してしまって検診の途中で神経をとったということは
0ゼロですし、
「抜髄」という治療も今年は5、6本です。
患者様が歯ブラシを頑張ってくださっていて、
私より磨けているんじゃないかと思うくらいです 笑
この業界では「NLP」を使って心理的に誘導し、
歯磨きの指導をするといった「とんでも」ものもありますが、
当院では、ただ熱心に「磨いてほしい」という気持ちを
お伝えします。
根気強く何度も何度もお伝えします。
それで、この前、2年間頑なにデンタルフロスをしなかった人が、
とうとう「週に2、3回やってます」と言ってくれました。
これを「効率が良い・悪い」で判断するのか、
「患者様のためにはどちらがいいのか」
賛否両論はあると思いますが、
手っ取り早くやるべきことの中に、
手っ取り早く出来ない原因があると思うから
私たちは向き合うことにしています。