草加ファミリー歯科・矯正歯科クリニックでは歯周病の治療にも本格的に取り組んでいます。
歯を失う2大要因が「虫歯」と「歯周病」といわれています。このことを考えますと、歯周病について真剣に取り組まないなんてことは、もはや出来ません。セラミックを入れても、何百万円かけても、有名な先生にインプラントをやってもらっても、歯周病を解決しない限りは何をやっても全く無駄、と言っても過言ではありません。
テレビや雑誌のコマーシャルでは「30歳以上の約80%が歯周病」ですとか「子供の40%が歯肉炎」などと言われておりますけれども、これだけ歯科医院の数が増えた昨今において、まだこのように言われているということは、もっと根本の部分から見直さないといけないのではないかと思っています。
例えば、
一昔前まで「歯周外科」というものが流行り、歯ぐきを切って、めくって、中の骨を削ったり直接的に歯を磨いたりする治療がありました。そのようなものを歯周外科と言います。もちろん、これらの治療は場合によっては現在でもとても有効であることは間違いありません。
しかし、
歯周外科を行なった場合と、歯周外科を行わず歯周基本治療(歯石とりに似たもの)を行なった場合を比べると、
5年経過すると、ほとんど差がなかった。
ということが研究で分かりました。
その結果、海外の歯周病の研究者たちの研究テーマはインプラントにシフトチェンジしてきています。
日本国内においても、患者様の負担に対してその治療効果が低い場合が多いので、取り組む先生も非常に減ったように思います。むしろ、安易に手術をすると「にわか」のように見られるようにさえなりつつあります。
そもそも、炎症があると縫合が出来ませんので、歯ぐきを切開出来ません。つまり、歯ぐきを切る時は炎症が治ってからということなのですが、切らないでも炎症が治まるから外科治療ができるということになります。つまり、手術なしでも炎症は治るというこです。そして、炎症が落ち着いた状態を保つために手術が選択されるということになっています。
これについて5年経過したらほとんど差がなかったということです。
以前、虫歯の治療の分野で「予防拡大」という概念がありました。将来虫歯になる可能性があるから今回の治療の時に一緒に削っておきましょう、ということです。安易な外科手術はこれと同じではないのか再検討が必要かもしれないと思っています。
色々と意見もあるかと思いますけれども、海外の歯周病科の主な研究がインプラントに移行しているところからも考えると、「歯周外科」は当院のメインの治療に据え置くことは出来ませんでした。ただ、状況によっては行うこともあります。
歯周病は大して痛みを感じないうちに驚くほど骨を減らします。そして、易々と歯を脱落させてしまう恐い病気です。もちろん、このような現象も恐ろしいことですし、歯を失った後の生活を考えるともっと怖いですよね。
しかし、歯周病の本当に怖いところはそこだけではありません。
最悪歯が抜けたとしても、こっちだけはやめて!と言いたくなるようなくらいのお話です。
人間の身体の表面は「皮膚」に、内面は「粘膜」に覆われていて、直接に内臓や骨に刺激源や菌が触れることはありません。そのようにして身体は恒常性を保とうとしている訳なのですが、歯周病はその状態が破綻していく病気です。
しかも、
以前からお口の中にいる「常在菌」が原因になってしまっています。それまで平気だったものが通用しなくなってしまう訳ですから、変化してしまったのはむしろ身体の方なのではないかと疑わざるを得ません。
さらに、
IL-1,IL-6,TNFα・・・などの炎症性物質が身体中に拡散していきます。この炎症性物質の拡散が生じると身体中にトラブルが生じます。しかし、原因が口の中にあるとはなかなか気づきにくいので不快症状が長引くことも考えられます。
さらにさらに、
偏性嫌気性菌という酸素がないところでも生きられる菌の多くはLPSという内毒素を生じさせます。これが生じると、やはり全身的に影響を及ぼす可能性が出てしまいます。
例えば、
背中が痒かったから掻いたとします。すると別のところが痒くなって、またそっちも掻く、などという経験は多くの人にあると思います。
それは痒みの物質が血流に運ばれて他の場所に行ったからです。
そして、それと似たような現象が炎症性物質の拡散や菌の体内の侵入と内毒素についても生じるということです。
歯が悪い、口腔が悪いといっても、症状がすぐ近くに現れるとは限らないですし、全身症状の兆候がお口の中に現れないとは言い切れない訳です。そして、そのようなことは実際に起きます。
歯科では糖尿病と歯周病の関係は言われておりますが、糖尿病の時にだけそれらが関係があるような発想で動いているのが現状です。しかし、糖尿病以外の時も関係していると考えるのが普通です。
当院では、なるべく外科的な処置を避け、しかし必要な時には積極的に用い、
身体と口腔との関係から考えて、
歯周病からあなたの歯を、口腔内を、そして健康を守るお手伝いをさせて頂きます。
難しい治療というのは何が難しいのかというと、もちろん手技の難しさもあるとは思いますが、コントロールしきれない範囲が存在し、その割合が通常よりも大きいから難しいということもできます。
歯茎を切り開いた後に元に戻して縫合したつもりでも、寸分狂わず戻ることはなく、粘膜が治癒した後は再び切り開いてみないと成功しているかどうか、本当のところはわかりません。
「この治療が本当にあなたにとって良い」と思えるものをご提供していきたいと思っております。