歯の生え変わりが始まる大事な時期
前歯の生え変わりが始まり、奥に6歳臼歯と呼ばれる歯が見えてくる時期を混合歯列期などと呼ぶことがあります。この混合歯列期も前半と後半に分けて考え「Ⅰ期」「Ⅱ気」と表現することがあります。これは、それぞれに骨の成長の具合や成長部位、成長方向と歯の入れ替わりなどが複雑に絡み合い、前半と後半ではアプローチの方法が明確に異なってくるので意図的に分けてあります。難しい部分ではありますけれども、この違いを考慮にいれないと「10代まるまる矯正治療をしていた」「小・中・高とずっと矯正していた」などの悲惨な状況になりかねません。当院では、確かに判断の難しいこの治療方針の変わる時期を慎重に対処して治療に反映させることを心がけています。
よくある問い合わせ
一般的には、一番早く生え変わりが始まるのが下の真ん中の前歯2本です。
この生え変わりの際に
「後ろから生えてきた」
というご相談がよくあります。
通常の矯正治療という専門的な観点では
「問題ないので経過観察」
となってしまうところなのですが、
私の場合は一般診療や小児歯科も日常のように行なっておりますので、
歯並び自体は経過観察だけれども、その歯のおかれる環境や
歯周組織の状態についても診ることが出来ます。
よくある間違い
昨今の歯科医院増加の結果、囲い込みともとれる治療、
明らかに早すぎる時期から矯正治療を始めているお子さんを見かけることがあります。
自然に治ることが出来た可能性が分からなくなり、その後の治療方針の決定に
支障を来すだけでなく、成長具合でさえおかしくしてしまう可能性もあります。
それくらい、人間の成長というものはダイナミックであり繊細であるものです。
乳歯の下に永久歯が控えています。
通常はまだその時は「歯胚」という状態です
ですから、乳歯を動かしても下にある永久歯はついていくことなく
歯胚のところから生え始めます。当たり前といえば当たり前です。
ましてや、最初に歯の生え変わりが生じてから、
次の歯が交換されるまでに
だいたい1年くらいの時間差がありますので、
あまり早く治療を始めてしまいますと、
本人の負担はかなり大きなものとなってしまいます。
大規模な研究の結果では前歯の交換の時期に
乳歯で異常があった場合でも、永久歯人る時に
50%は正常な噛み合わせになるということが分かっています。
それらのことを踏まえますと、
治療介入をするべきかどうか?
治療を始めるのならいつからが良いか?
治療をしない選択はないか?
など、様々な角度から検討しなければいけません。
特に「治療をしない選択」をするかについては、
歯科矯正の専門的な観点で言えば「歯列不正」ということな訳ですから、
少しでもそれが見られれば治療となってしまいます。
治療方針は一つに絞りすぎないこと
私は一般診療や小児歯科、予防歯科も行なっておりますので
それらの観点から総合的に、
さらには小児心理やご家族の心理にも配慮して
治療方針を決めさせて頂いております。
他院で治療の経験があり
「矯正治療はとにかく大変だった」という方が多い一方、
当院の患者様の中には、
「あの時やらなくてよかった」と
言ってくださる方もいらっしゃいます。